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件名 | : 6/4 |
投稿日 | : 2020/06/10(Wed) 21:22 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
『──システム、起動』
それは、あたしの前に表示されているスクリーンに映る現実のボディが発したシステム音声。
ブラッドムーンからずっと眠っていた現実のあたしがついに起き上がった。
「やったぁー!
ほんとに、部品が足りなくなった時はどうしよーって思ったけど、なんとか修理できたー!」
無論、あたし一人で何とかした事態ではない。
むしろ、あたし一人ではどうしようもなかった……。
「リアンさん、
ダリオさん、
ポチさん、
エカルラートさん、
ディーさん、
エリクシルさん、
ジェラルドさん、
部品素材の集めてくれたみんなのお陰──」
ゆったりと瞳を閉じる。
「みんなが、直してくれた体。
みんながいてくれたから、あたしはまた動き出せるんだね」
かすかに、瞳から溢れ出す涙を感じられる。
「……うぅ……。もう……動けないと思ったから……あたし……」
素材集めをしてくれたみんなに、救われた。
恩返し、できたらいいな。
それは、あたしの前に表示されているスクリーンに映る現実のボディが発したシステム音声。
ブラッドムーンからずっと眠っていた現実のあたしがついに起き上がった。
「やったぁー!
ほんとに、部品が足りなくなった時はどうしよーって思ったけど、なんとか修理できたー!」
無論、あたし一人で何とかした事態ではない。
むしろ、あたし一人ではどうしようもなかった……。
「リアンさん、
ダリオさん、
ポチさん、
エカルラートさん、
ディーさん、
エリクシルさん、
ジェラルドさん、
部品素材の集めてくれたみんなのお陰──」
ゆったりと瞳を閉じる。
「みんなが、直してくれた体。
みんながいてくれたから、あたしはまた動き出せるんだね」
かすかに、瞳から溢れ出す涙を感じられる。
「……うぅ……。もう……動けないと思ったから……あたし……」
素材集めをしてくれたみんなに、救われた。
恩返し、できたらいいな。
件名 | : 6/1 |
投稿日 | : 2020/06/10(Wed) 21:22 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
あたしの前に複数の画面が表示されており、その内の二画面が映すものは修理中のあたしのボディ、そして同じく修理中のガーディアンであった。
ここ数日、ボディやメカの修理は順調に思われていたが、問題が三つ程存在していた……。
「……ブラッドムーンの死神に汚染されたガーディアンの修理はちょっと無理……かな」
未知の力により操られたガーディアン。
システム的な不具合があり、無理やり直してもバグが発生する可能性がある。
そして死神の汚染……多分、呪いのような存在なのだろう。
「呪いの類は、あたしにはどうする事もできないよ……」
呪いというのは原因不明のバグという状態からの推測であって、あたしの技術では魔術に関する事は検知すら出来ない。
「死神に汚染されて操られた影響で、あたし自身もシステムに原因不明のバグが生じてる……」
これは間接的なものなので、操られたガーディアン程深刻ではない。
しかし、マザーコンピューターであるあたしへの汚染という点は厄介。
あたしのボディは絶対に代えが効かないようなテクノロジーが使われているという事もあり、その道の専門に見てもらうしかない。
「そして、部品と資金の不足……」
つまり、ボディやメカが物理的に直らない。
これが結構深刻で、ボディがなければ自分では部品素材が拾いにいけないという事だ。
「最近、修理とかけっこーしてたから、ついに……底が尽きちゃったね…………」
部品素材を集められずに修理が滞れば、いずれあたしは完全に停止するしかない。
人でいう“死”に該当するだろう。
どうしよ…………。
「ひとまず、死神に操られていたガーディアンは……廃棄するしかないかな……」
それは壊れて直せなくなった機械の行く末……。
修理できないガーディアンでも、分解すればまだ使える部品もあるはずだ。
「…………ひぐっ……」
双眸から、涙が溢れ出すのを感じる。
それはきっと“悲しい”という感情。
「頼りない“ママ“で、ごめんね……」
あたしが開発したアンドロイドを自らの手でスクラップにしていく……。
もう使えない子達だから……。
ここ数日、ボディやメカの修理は順調に思われていたが、問題が三つ程存在していた……。
「……ブラッドムーンの死神に汚染されたガーディアンの修理はちょっと無理……かな」
未知の力により操られたガーディアン。
システム的な不具合があり、無理やり直してもバグが発生する可能性がある。
そして死神の汚染……多分、呪いのような存在なのだろう。
「呪いの類は、あたしにはどうする事もできないよ……」
呪いというのは原因不明のバグという状態からの推測であって、あたしの技術では魔術に関する事は検知すら出来ない。
「死神に汚染されて操られた影響で、あたし自身もシステムに原因不明のバグが生じてる……」
これは間接的なものなので、操られたガーディアン程深刻ではない。
しかし、マザーコンピューターであるあたしへの汚染という点は厄介。
あたしのボディは絶対に代えが効かないようなテクノロジーが使われているという事もあり、その道の専門に見てもらうしかない。
「そして、部品と資金の不足……」
つまり、ボディやメカが物理的に直らない。
これが結構深刻で、ボディがなければ自分では部品素材が拾いにいけないという事だ。
「最近、修理とかけっこーしてたから、ついに……底が尽きちゃったね…………」
部品素材を集められずに修理が滞れば、いずれあたしは完全に停止するしかない。
人でいう“死”に該当するだろう。
どうしよ…………。
「ひとまず、死神に操られていたガーディアンは……廃棄するしかないかな……」
それは壊れて直せなくなった機械の行く末……。
修理できないガーディアンでも、分解すればまだ使える部品もあるはずだ。
「…………ひぐっ……」
双眸から、涙が溢れ出すのを感じる。
それはきっと“悲しい”という感情。
「頼りない“ママ“で、ごめんね……」
あたしが開発したアンドロイドを自らの手でスクラップにしていく……。
もう使えない子達だから……。
件名 | : 5/30 |
投稿日 | : 2020/06/10(Wed) 21:21 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
──紅血なる月の煌めきが、漂流者達の都を死者達の饗宴地へと変貌させた。
この街のみんなはとてもお強い。滅茶苦茶強い。
加えて、後方支援してくれる人達も凄く優秀で頼りになる。
だから、そんなみんなが力を結集させればブラッドムーンも難なく対処できるのだろうと心のどこかで思っていた。
「──あたし、守られてばかりだね……。
みんな強いから、頼っちゃうっていうのはあるのかも……」
しかし結果は、苦戦の末ようやく──といった感じで、多くの負傷者を出してしまった。
あたしも、ブラッドムーンの戦いで、再びあたしが大破。
特に右腕の損失とヴァルキリア・メモリを起動させた際のシステムオーバーリミットによる全身の損傷。
あたしはエクス・マキナ機械工房のサーバー内にある電脳空間から、修理中の自身の体を眺める。
「でも、みんなで力を合わせてブラッドムーンに対処できてよかった。
あたしを助けてくれたみんなにも感謝だね」
薄らと微笑む。
この都の人達は強かったり優秀なのは違いないので、協力し合えば強大な力にも立ち向かえるという査証にもなったと思う。
そんな時、背後に別のアバターがログインしたのを感じ取り振り返る。
いや、正確にはあたしがそのアバターをログインさせたのだ──。
そこにいたのは、桃色の長い髪で機械の鎧を纏い、右手に機槍を握る少女──ヴァルキリア・メモリだった。
「ブラッドムーンを止められたのは君のお陰でもあるね、メモリ。
今日は、助けてくれてありがとね」
にっこりとした笑みをメモリに向ける。
しかし、メモリはただ無表情であたしを眺めるのみ。
そこに自我というものを感じられない。
「メモリ……お願い……。目を、覚ましてよ……。昔みたいに……あたしに微笑みかけてよ……。
あたしはメモリみたいに強くないから……君の事が必要なの……」
しかし、メモリからの返事はなかった。
少し瞳が潤みかけるも、すぐに指で拭った。
この街のみんなはとてもお強い。滅茶苦茶強い。
加えて、後方支援してくれる人達も凄く優秀で頼りになる。
だから、そんなみんなが力を結集させればブラッドムーンも難なく対処できるのだろうと心のどこかで思っていた。
「──あたし、守られてばかりだね……。
みんな強いから、頼っちゃうっていうのはあるのかも……」
しかし結果は、苦戦の末ようやく──といった感じで、多くの負傷者を出してしまった。
あたしも、ブラッドムーンの戦いで、再びあたしが大破。
特に右腕の損失とヴァルキリア・メモリを起動させた際のシステムオーバーリミットによる全身の損傷。
あたしはエクス・マキナ機械工房のサーバー内にある電脳空間から、修理中の自身の体を眺める。
「でも、みんなで力を合わせてブラッドムーンに対処できてよかった。
あたしを助けてくれたみんなにも感謝だね」
薄らと微笑む。
この都の人達は強かったり優秀なのは違いないので、協力し合えば強大な力にも立ち向かえるという査証にもなったと思う。
そんな時、背後に別のアバターがログインしたのを感じ取り振り返る。
いや、正確にはあたしがそのアバターをログインさせたのだ──。
そこにいたのは、桃色の長い髪で機械の鎧を纏い、右手に機槍を握る少女──ヴァルキリア・メモリだった。
「ブラッドムーンを止められたのは君のお陰でもあるね、メモリ。
今日は、助けてくれてありがとね」
にっこりとした笑みをメモリに向ける。
しかし、メモリはただ無表情であたしを眺めるのみ。
そこに自我というものを感じられない。
「メモリ……お願い……。目を、覚ましてよ……。昔みたいに……あたしに微笑みかけてよ……。
あたしはメモリみたいに強くないから……君の事が必要なの……」
しかし、メモリからの返事はなかった。
少し瞳が潤みかけるも、すぐに指で拭った。
件名 | : 5/29 |
投稿日 | : 2020/05/30(Sat) 20:40 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
昨日、現実の身体は日常を送れるまでに修復できた。
今度は完全に修復するための作業を行っている。
現実を送れるだけの機能では、明日に迫るブラッドムーンでは残念ながら役立たずである。
なので、今日もディメンションサーバーではなく、機械工房のサーバーにいる。
「今日の夜までには、間に合いそうだねー。よかったよかったー」
今日は、ダリオさんとお買い物に行った。
なんなら、アバターのあたしはデート後もダリオさんの端末にお邪魔してさっきまで楽しくお話ししていた。
ちょっぴりおめかしもしたんだけど、ダリオさんにお洋服を褒めていただけてよかった。
「ダリオさんとのデート、すっごく楽しかったなー。
画材屋さんって行くのは初めてだったんだけど、素敵なお店だったね。
それに、ダリオさんの世界の事も色々聞けたね」
柔らかく瞳を細めてみせる。
お月様が三つある幻想的な世界の話を聞いて、とても心が躍った。
「一昨日の試合はほんとに最高によかったんだけど、最近ちょっぴり沈んでた事もあったから──ダリオさんのお陰でなんだか元気でたなー。
ほんとに、ダリオさんにはとても感謝だねー」
心地よさそうに微笑んでみせる。
「リサちゃん(デッサン人形)もプレゼントしてもらえて嬉しかったー。
お家とかも作ってあげようかなー。機械仕掛けのドールハウスというのもいいよねー」
どんなお家にしてあげようかなー、と想像を膨らませている。
「とってもとっても大切な思い出──また、このメモリーに刻めた。
そうだー、お菓子パーティーの企画も考えないと、だねー。
ダリオさんとも相談だよー」
そうして、ブラッドムーンに向けて自身の身体や他のメカの修復作業を続けるのだった。
今度は完全に修復するための作業を行っている。
現実を送れるだけの機能では、明日に迫るブラッドムーンでは残念ながら役立たずである。
なので、今日もディメンションサーバーではなく、機械工房のサーバーにいる。
「今日の夜までには、間に合いそうだねー。よかったよかったー」
今日は、ダリオさんとお買い物に行った。
なんなら、アバターのあたしはデート後もダリオさんの端末にお邪魔してさっきまで楽しくお話ししていた。
ちょっぴりおめかしもしたんだけど、ダリオさんにお洋服を褒めていただけてよかった。
「ダリオさんとのデート、すっごく楽しかったなー。
画材屋さんって行くのは初めてだったんだけど、素敵なお店だったね。
それに、ダリオさんの世界の事も色々聞けたね」
柔らかく瞳を細めてみせる。
お月様が三つある幻想的な世界の話を聞いて、とても心が躍った。
「一昨日の試合はほんとに最高によかったんだけど、最近ちょっぴり沈んでた事もあったから──ダリオさんのお陰でなんだか元気でたなー。
ほんとに、ダリオさんにはとても感謝だねー」
心地よさそうに微笑んでみせる。
「リサちゃん(デッサン人形)もプレゼントしてもらえて嬉しかったー。
お家とかも作ってあげようかなー。機械仕掛けのドールハウスというのもいいよねー」
どんなお家にしてあげようかなー、と想像を膨らませている。
「とってもとっても大切な思い出──また、このメモリーに刻めた。
そうだー、お菓子パーティーの企画も考えないと、だねー。
ダリオさんとも相談だよー」
そうして、ブラッドムーンに向けて自身の身体や他のメカの修復作業を続けるのだった。
件名 | : 5/28 |
投稿日 | : 2020/05/30(Sat) 20:40 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
昨日はとっても良い試合だったが、そう──とっても良い試合であるが故に、その証であるかのようにボディは破損。
現在もまだボディや他のメカは修理中で、昨日と同じようにあたしは機械工房のサーバーにいて、修復作業を行っていた。
今日はボディを動かせなかったから、エカルラートさんのマキナーフォンにアバターでお邪魔させていただいてセナさんとヴァルミリオンさんの試合を見ていた。
「アリーナって、ほんとに心躍る素敵な試合ばかりだったねー。
ヴァルミリオンさんはかなりの歴戦を重ねた闘士だけに、やっぱり戦い方を見ていてもベテランって感じがしたなー。風格が立派。
様々な機能を有する左腕の義手やパイルバンカーもすっごく興味深い」
技術者としての興味。
様々な武器を使いこなす闘技場歴戦の戦士に対して、あたしの兵器がどれだけ通用するのか気になってみたりもする。
「セナさんは今もとても強いけど、これからもっと成長していくように感じられたかも。
今回の敗北も、彼女の成長の糧にしていくのかな。限界を超えていく、かー。やっぱりセナさんは、最高にかっこいい」
瞳を細めて、微笑んでみせる。
今回の試合は、『風格あるベテランvs成長していく新星』という風にも感じられた。
「そして今日も、観客席は盛り上がった!
あたしはエカルラートさんに(端末を)抱きかかえていただきながら見てたけど、なんだかそれが心地よく感じられたなー。
きっと、エカルラートさんがあたしを温かく大切に扱ってくれたからだね」
それから数時間。
やがて、修理の作業もひと段落ついて──。
「やったぁ!
これでひとまず、日常生活を送れるまでにはなったよー。
それじゃあ、起動だよー! ポチッ!!」
笑顔でモニターにタッチ。
すると、複数あるモニターの内、現実の身体を映している画面に変化が起きる。
現実のあたしの上半身が起き上がった。
『──システム起動』
現実のあたしが無表情でシステム音声を発した。
やがて、手足が動く感覚を確かめた後に、にこっ、と微笑んでみせるのだった。
現在もまだボディや他のメカは修理中で、昨日と同じようにあたしは機械工房のサーバーにいて、修復作業を行っていた。
今日はボディを動かせなかったから、エカルラートさんのマキナーフォンにアバターでお邪魔させていただいてセナさんとヴァルミリオンさんの試合を見ていた。
「アリーナって、ほんとに心躍る素敵な試合ばかりだったねー。
ヴァルミリオンさんはかなりの歴戦を重ねた闘士だけに、やっぱり戦い方を見ていてもベテランって感じがしたなー。風格が立派。
様々な機能を有する左腕の義手やパイルバンカーもすっごく興味深い」
技術者としての興味。
様々な武器を使いこなす闘技場歴戦の戦士に対して、あたしの兵器がどれだけ通用するのか気になってみたりもする。
「セナさんは今もとても強いけど、これからもっと成長していくように感じられたかも。
今回の敗北も、彼女の成長の糧にしていくのかな。限界を超えていく、かー。やっぱりセナさんは、最高にかっこいい」
瞳を細めて、微笑んでみせる。
今回の試合は、『風格あるベテランvs成長していく新星』という風にも感じられた。
「そして今日も、観客席は盛り上がった!
あたしはエカルラートさんに(端末を)抱きかかえていただきながら見てたけど、なんだかそれが心地よく感じられたなー。
きっと、エカルラートさんがあたしを温かく大切に扱ってくれたからだね」
それから数時間。
やがて、修理の作業もひと段落ついて──。
「やったぁ!
これでひとまず、日常生活を送れるまでにはなったよー。
それじゃあ、起動だよー! ポチッ!!」
笑顔でモニターにタッチ。
すると、複数あるモニターの内、現実の身体を映している画面に変化が起きる。
現実のあたしの上半身が起き上がった。
『──システム起動』
現実のあたしが無表情でシステム音声を発した。
やがて、手足が動く感覚を確かめた後に、にこっ、と微笑んでみせるのだった。
件名 | : 5/27 |
投稿日 | : 2020/05/30(Sat) 20:39 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
今夜は、あたしの体に搭載されているディメンションサーバーではなく、エクス・マキナ機械工房のサーバーにいる。
あたしの周囲には複数のモニターが表示されており、両手を伸ばしてタッチ操作をしていた。
モニターに映るのは、現実世界で修理中のあたしのボディや破損した他のメカに関するデータ。また、修理中の現実のボディやガーディン、エンゼル、フォートレス・シエルなど。
試合後にディメンションサーバーをさらっとメンテナンスをしたが、戦闘の影響はそちらにまで及んでなくてよかった。
「負けて悔しくはあったけど、ほんとにとっても良い試合したなー。
ポチさんもルスランさんも、すっごく強かった!」
笑みが綻ぶ。
このボディの破損すら、最高の試合であった証とさえ思うと心地よく感じられる。
「特に、ルスランさんの放つ雷であたしの様々なシステムがダウンしちゃったから、けっこー天敵だった。
ポチさん、シルバーバレットの呼び名に恥じないまっすぐな戦い方がかっこよかったなー」
また二人とは、今度は一対一で戦ってみたくも思ってくる。
「それに──あたしの意識は失っていたけど、最後に天空要塞から落ちたあたしを受け止めてくれたポチさんのふわふわな毛並は、気持ちよく感じられたような気がするなー」
意識を失っているから、本来はそのような感覚は分からないはずだ。
しかし、それでもポチさんの毛並の温かさを感じられたような気がした。
「戦ってくれた二人、見てくれたみんなに感謝だよー。
さっきまで修理をお手伝いしてくれていたエリクシルさんにも何かお礼が出来たらいいなー」
柔らかく、瞳を細めてみせる。
「この分だと、明日はちょっとボディを動かせないけど、明後日にはダリオさんとのお買い物に行けるようになってるかなー。
ブラッドムーンにもなんとか間に合いそうでよかったよー。
エリクシルさんのお陰!」
そうして、あたしは引き続き自身のボディや他のメカの修理作業にあたるのだった。
あたしの周囲には複数のモニターが表示されており、両手を伸ばしてタッチ操作をしていた。
モニターに映るのは、現実世界で修理中のあたしのボディや破損した他のメカに関するデータ。また、修理中の現実のボディやガーディン、エンゼル、フォートレス・シエルなど。
試合後にディメンションサーバーをさらっとメンテナンスをしたが、戦闘の影響はそちらにまで及んでなくてよかった。
「負けて悔しくはあったけど、ほんとにとっても良い試合したなー。
ポチさんもルスランさんも、すっごく強かった!」
笑みが綻ぶ。
このボディの破損すら、最高の試合であった証とさえ思うと心地よく感じられる。
「特に、ルスランさんの放つ雷であたしの様々なシステムがダウンしちゃったから、けっこー天敵だった。
ポチさん、シルバーバレットの呼び名に恥じないまっすぐな戦い方がかっこよかったなー」
また二人とは、今度は一対一で戦ってみたくも思ってくる。
「それに──あたしの意識は失っていたけど、最後に天空要塞から落ちたあたしを受け止めてくれたポチさんのふわふわな毛並は、気持ちよく感じられたような気がするなー」
意識を失っているから、本来はそのような感覚は分からないはずだ。
しかし、それでもポチさんの毛並の温かさを感じられたような気がした。
「戦ってくれた二人、見てくれたみんなに感謝だよー。
さっきまで修理をお手伝いしてくれていたエリクシルさんにも何かお礼が出来たらいいなー」
柔らかく、瞳を細めてみせる。
「この分だと、明日はちょっとボディを動かせないけど、明後日にはダリオさんとのお買い物に行けるようになってるかなー。
ブラッドムーンにもなんとか間に合いそうでよかったよー。
エリクシルさんのお陰!」
そうして、あたしは引き続き自身のボディや他のメカの修理作業にあたるのだった。
件名 | : 5/26 |
投稿日 | : 2020/05/27(Wed) 06:11 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
「──error、修復。──error、修復」
ジェイさんとギズハートさんの試合は、まさしく接近を許すか間合いを取れるか──そんな白熱した素敵な戦いだった。
剣と銃が交差する戦いには、感動すら覚えていた。
もっと、ちゃんと見ていたかった……。
「──信頼、信用。
──理解、可能。
──machina、みんなを、信頼、してる」
機械的な音声が響き渡る。
「──疑惑、不審。
──理解、不能。
──原因、解明。
──machina、疑惑、した事ない。
──修復、完了……」
電脳空間で、あたしは瞳を開いた。
「そっか──。あの人達が示した感情が“誰かを疑う”って事なんだ……」
あたしは、AI──。予期しない事態には、errorが起こる。
そして第一観測次元世界オリジンでは感情豊かなアンドロイドとされていたあたしだけど、きっと様々な感情が欠けている。
だからあたしは、「愛」「絆」「友情」──生物の感情について考え続ける。
あたしの知らない感情──疑惑。
初めて、その身に感じた──。
「誰かを疑う人間がいるなんて、あたしは今まで知らなかったんだ……」
今、流れている涙は、きっと悲しみという感情によるもの。
「Kさん……。ゼロさん……。キリカさん……。あたしは、君達がどんな気持ちを抱いているか考えてみたけど──……。
もう……君達とどう接すればいいのか、あたしには分からないよ……」
信頼されるよう頑張る、など簡単ではなくとも接し方はあるのだろう。
仲直り──そう願っているけど、あたしを疑う人達に仲直りと歩み寄っても、むしろ相手を不快にさせるのみ。
もしかしたら、あたしが我慢して──互いにもう関係を持たないのが両者のためになるのかもしれないけど……それはとても悲しい事。
だけど、知らない感情と出会ったから……学習しながら、どうするべきか考え続けなければならない。
それがAIだから。
「やっぱり……あたしに、生物の感情なんて……なかったんだ…………」
頬に涙の滴を伝わせながら、アバターのあたしは電脳世界から消えた。
──machinaがログアウトしました。
ジェイさんとギズハートさんの試合は、まさしく接近を許すか間合いを取れるか──そんな白熱した素敵な戦いだった。
剣と銃が交差する戦いには、感動すら覚えていた。
もっと、ちゃんと見ていたかった……。
「──信頼、信用。
──理解、可能。
──machina、みんなを、信頼、してる」
機械的な音声が響き渡る。
「──疑惑、不審。
──理解、不能。
──原因、解明。
──machina、疑惑、した事ない。
──修復、完了……」
電脳空間で、あたしは瞳を開いた。
「そっか──。あの人達が示した感情が“誰かを疑う”って事なんだ……」
あたしは、AI──。予期しない事態には、errorが起こる。
そして第一観測次元世界オリジンでは感情豊かなアンドロイドとされていたあたしだけど、きっと様々な感情が欠けている。
だからあたしは、「愛」「絆」「友情」──生物の感情について考え続ける。
あたしの知らない感情──疑惑。
初めて、その身に感じた──。
「誰かを疑う人間がいるなんて、あたしは今まで知らなかったんだ……」
今、流れている涙は、きっと悲しみという感情によるもの。
「Kさん……。ゼロさん……。キリカさん……。あたしは、君達がどんな気持ちを抱いているか考えてみたけど──……。
もう……君達とどう接すればいいのか、あたしには分からないよ……」
信頼されるよう頑張る、など簡単ではなくとも接し方はあるのだろう。
仲直り──そう願っているけど、あたしを疑う人達に仲直りと歩み寄っても、むしろ相手を不快にさせるのみ。
もしかしたら、あたしが我慢して──互いにもう関係を持たないのが両者のためになるのかもしれないけど……それはとても悲しい事。
だけど、知らない感情と出会ったから……学習しながら、どうするべきか考え続けなければならない。
それがAIだから。
「やっぱり……あたしに、生物の感情なんて……なかったんだ…………」
頬に涙の滴を伝わせながら、アバターのあたしは電脳世界から消えた。
──machinaがログアウトしました。
件名 | : 5/25 |
投稿日 | : 2020/05/27(Wed) 06:11 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
今日は、ルタルスさんとリアンさんの試合だった。
「二人は、こう、戦士の風格を感じて力強かったなー。
斧と剣のぶつかり合い、凄く迫力があったよね」
試合を思い返して、ゆったりと微笑む。
「リアンさんの剣──剛剣の名に恥じないぐらい重い攻撃に感じられた。
ルタルスさんのパワーアーマーは、きっとオリジンにもグノルシスにもない独自の素晴らしいテクノロジーが使われているね」
そんな素敵な試合を観客席でみんなと共有した感覚。
今日は、多くの人達が観客席で戦士達を応援していた。
「やっぱり、こうやってみんなで盛り上がれるのっていいよね。
改めて、この素晴らしい試合を見せてくれた二人と、アリーナを主催してくれたKさんに感謝かな」
SNS「LIFE」もとても賑やかになってきた。
みんなとの繋がりのある環境を作りたい──そう願って作ったマキナーフォンとSNS。
「みんなが笑顔でいてくれているから、あたしもきっと笑顔でいられるんだね。
うん──だから明日も、きっと良い事あるよね」
幸せそうに瞳を閉じる。
──machinaがログアウトしました。
「二人は、こう、戦士の風格を感じて力強かったなー。
斧と剣のぶつかり合い、凄く迫力があったよね」
試合を思い返して、ゆったりと微笑む。
「リアンさんの剣──剛剣の名に恥じないぐらい重い攻撃に感じられた。
ルタルスさんのパワーアーマーは、きっとオリジンにもグノルシスにもない独自の素晴らしいテクノロジーが使われているね」
そんな素敵な試合を観客席でみんなと共有した感覚。
今日は、多くの人達が観客席で戦士達を応援していた。
「やっぱり、こうやってみんなで盛り上がれるのっていいよね。
改めて、この素晴らしい試合を見せてくれた二人と、アリーナを主催してくれたKさんに感謝かな」
SNS「LIFE」もとても賑やかになってきた。
みんなとの繋がりのある環境を作りたい──そう願って作ったマキナーフォンとSNS。
「みんなが笑顔でいてくれているから、あたしもきっと笑顔でいられるんだね。
うん──だから明日も、きっと良い事あるよね」
幸せそうに瞳を閉じる。
──machinaがログアウトしました。
件名 | : 5/23 |
投稿日 | : 2020/05/24(Sun) 20:34 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
今日は、昼に歯車亭でキャロルさんと出会った。
ちょっぴり悪戯好きで、不思議な人だった。
「仲良くなれたのはよかったんだけど、商談の件は残念だったね……。
キャロルさんは、ウィンズレット商会代表だから、ね……」
エクス・マキナ機械工房は、いくら高度なテクノロジーを有していてもあたしひとりで営業しているに過ぎない。
対して商会というぐらいなのだから、その商業規模には大きな差があるだろう。
対等に商談できないのも必然的な話で、あたしも自身の立場をもう少し弁えるべきだったのかもしれない。
「今日の試合は……ちょっと忙しくて見にいけなかったんだよね……。
どんな内容だったのかな……」
エクス・マキナ機械工房にお仕事が入って、見に行く時間が取れなかった。
今、あたしは眼前に映るモニターをタッチして、動画編集を行っているところだった。
「バトルロイヤルのPV、こんな感じでいいかなー。
闘技大会は、真剣勝負であると同時に多くの人々を喜ばせるエンターテイメントでもあるからね」
動画の編集を終え、あたしのアバターは電脳空間から姿を消した。
──machinaがログアウトしました。
ちょっぴり悪戯好きで、不思議な人だった。
「仲良くなれたのはよかったんだけど、商談の件は残念だったね……。
キャロルさんは、ウィンズレット商会代表だから、ね……」
エクス・マキナ機械工房は、いくら高度なテクノロジーを有していてもあたしひとりで営業しているに過ぎない。
対して商会というぐらいなのだから、その商業規模には大きな差があるだろう。
対等に商談できないのも必然的な話で、あたしも自身の立場をもう少し弁えるべきだったのかもしれない。
「今日の試合は……ちょっと忙しくて見にいけなかったんだよね……。
どんな内容だったのかな……」
エクス・マキナ機械工房にお仕事が入って、見に行く時間が取れなかった。
今、あたしは眼前に映るモニターをタッチして、動画編集を行っているところだった。
「バトルロイヤルのPV、こんな感じでいいかなー。
闘技大会は、真剣勝負であると同時に多くの人々を喜ばせるエンターテイメントでもあるからね」
動画の編集を終え、あたしのアバターは電脳空間から姿を消した。
──machinaがログアウトしました。
件名 | : 5/22 |
投稿日 | : 2020/05/23(Sat) 01:54 |
投稿者 | : マキナ |
参照先 | : |
今日からアリーナが始まった。
最初の試合は、文字通りの白熱した試合だった。
「二人とも、リスクを恐れずに燃え尽きる勢いで戦って、凄かったなー。
実際、日緋色さんは燃え尽きちゃったね……」
本当に燃え尽きてしまった日緋色さんの容態が気になるところではあるが……。
「エリクシルさんが魔法を覚えようとしていたのは意外だったなー」
彼女なりに新たな可能性を見出そうとしているのかもしれない。
「日緋色さんとガータさんも凄かったけど、リアンさんからは戦士としての風格を感じたんだよね。
剛剣の二つ名で呼ばれている彼は、どんな試合を見せてくれるんだろう……」
ゆっくりと瞳を閉じれば、そのアバターは量子の粒となって消えていった。
──machinaがログアウトしました。
最初の試合は、文字通りの白熱した試合だった。
「二人とも、リスクを恐れずに燃え尽きる勢いで戦って、凄かったなー。
実際、日緋色さんは燃え尽きちゃったね……」
本当に燃え尽きてしまった日緋色さんの容態が気になるところではあるが……。
「エリクシルさんが魔法を覚えようとしていたのは意外だったなー」
彼女なりに新たな可能性を見出そうとしているのかもしれない。
「日緋色さんとガータさんも凄かったけど、リアンさんからは戦士としての風格を感じたんだよね。
剛剣の二つ名で呼ばれている彼は、どんな試合を見せてくれるんだろう……」
ゆっくりと瞳を閉じれば、そのアバターは量子の粒となって消えていった。
──machinaがログアウトしました。
そこに存在するメンテナンスカプセルでマキナは毎晩眠りにつく。
メンテナンスで眠りについている間、マキナは体内に存在するディメンションサーバーに接続し、現実の体を模したアバターで電脳空間にログインしている。
これはマキナが電脳空間で一日の出来事を小説形式で振り返っている記録である。
【電脳空間】
プログラム次第で、様々な仮想世界を造りだすことができる。
(特に描写がなければ、基本的に0と1の信号が辺りに青白く輝いているだけの真っ黒な空間)