中層のなかでも緑の多い閑静な立地は、海に面し、学区の大和桜立館側からも程近い。 波音を聴きながら林に囲まれた長い石階段を上がった高台にある日本風/大和風の神社。 その眺めは海と街を見渡せて、元老院と貴族院の双塔を仰げるもの。
いつからかどこかから敷地ごとここまで流れ着いた無人の寂れた神社を今の神主一家が名乗り出て改修・管理されている。 ゆえに通称、漂流神社。
神社ではあるが、特定の祀る神は居ない。本殿は漂着した時にはすでに壊れており、どこを調べても祭神の名や存在を確認出来ない。(本殿は建て直されている) ゆえにこう取り決められているし、断言してしまっている――ここに神は居ない。だから各々の思い描く神仏でも良ければ、いっそ思い描かなくとも構わないと。 正月・節分・桃の節句・端午の節句・七夕などの日本系伝統行事の時期になると飾り付けがされ、故郷を懐かしむ者やお祭り好きの人々で賑わい軽食系の露店もいくつか並ぶが、どれも境内とその麓の階段周りで執り行われるだけのごく小さなもの。 敷地の管理者としての役割が強い神主や巫女がいるが、依頼があれば祈祷やお祓い、お焚き上げもする。 基本的に一家で運営しているが、催事や人手が足りなくなる時は外部から雇うこともある。
基本的な神社の機能は概ね揃えてある。前述の小さな催しが行える程度には広い。 敷地内の至るところに狛犬像や狛狐像など様々な動物の像が並んでいるが、これは漂着時からそうなのだと謂う。由縁がますます見えなくなる奇妙な光景。
行事の時期以外はとても静かだが、賑わう行事の時期でも境内の外れ……木々の深い奥まで続く細い参道を歩くと落ち着いた小さな社を見つけることが出来る。
着用されなくなった着物などの寄付を受けており、中古ゆえの安価で着物レンタルと着付けも出来る。敷地内や近辺(麓や海辺)散策に限るため、街中を歩くならば本場の貸衣装屋さんに。
神の祀られない神社に用意されたご利益はなく、それらは訪れた各々が想うもの。あるいはここで自然とつくりあげられていくもの。 それはあまりに空虚であるかもしれないが、いっときの拠り所にはなるかもしれないもの。 気休めの願掛けであろうとも、ただただ願いを零し、祈るための場所。あるいは故郷に焦がれる者たちの憩いの場。
これからも息災でいられるように。 無事に未踏区域や闘技場から帰ってこられるように。 ……元の世界へ還れるように。
【余談】 おみくじが銅貨1枚で買える。(1d6) 1.凶 2.末吉 3.吉 4.小吉 5.中吉 6.大吉 御守りなども銅貨で買える。その他、神社で売ってそうなものであれば置いてある。
(※神のいない神社を前提としつつ、より神社に詳しい方の加筆修正歓迎) |
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