裏通りでは知る人ぞ知る有名な大衆食堂《カンフーキッチン》。いつも繁盛している。旨い安い多い。 客層は華中やカキョ(華僑)と呼ばれる大陸の出身者がメイン。 木造三階建てスクエア型の楼閣。豪奢というよりは頑強だがあちこち傷跡だらけ。中央部分が吹き抜けになっており二階と三階からフロアの“大暴風”を見下ろせる造りになっている。大きなシャンデリアが目を引くが、よくよく観察すると何度も繰り返し修復された痕跡が。ガラスは継ぎ接ぎである。
◆はたらいている人達◆ シェフ達は全員武術の達人。巨大な火柱を前にムキムキのマッチョが鉄鍋を振るう姿は圧巻。 料理長は寡黙なジークンドー使いである。極稀に闘技場の舞台に立つ事もあるとかなんとか。 オーナーは酔拳使いの爺様でいつも店の隅で酔い潰れている。 店の裏では道場を開いているためむくつけき門弟達が給仕役。 たまに紅一点のチャイナドレスちゃんも居るが、うかつにお触りなんかしようとすると伊達にして帰される。 後述のとおり非常に物騒な店なので常に人手不足。アルバイター歓迎。制服支給。まかない制度あり。
◆名物◆ 下層のマフィアと敵対関係にあるため厄介事が途絶える事がない。 シェフ達にボコボコにされた恨みを持つゴロツキなどもしょっちゅう(よせばいいのに)お礼参りに来るせいで 営業日は乱闘騒ぎが起きる確率が150%。ランチタイムに必ず殴り合いが起こり、ディナータイムにも起きる確率が50%の意味。 包丁や酒瓶は言うに及ばず鍋、皿、寸胴、椅子などが飛び交う大乱闘を避けたりキャッチしたりしながら食事を楽しむのが通。当然客側にもそれなりの技量と度胸が求められる。素人にはおすすめできない。一方で楽しみ過ぎると次回来店時にシェフ達からマークされる危険を伴う。諸刃の剣。
◆お酒◆ 飯も旨いが肴も旨い。だから酒がもっと美味い。 四大門(スーターメン)と呼ばれる人気酒類がこちら。
【太極老酒】 華中酒の正道にして王道。これを飲まねば語れない。 黄酒と呼ばれる穀類醸造酒を龜に入れて寝かせ長時間熟成させたもの。 琥珀色の美酒から立ち昇る独特の芳醇な香りと深いコクを味わうことが出来る。
【六合啤酒】 啤酒とはいわゆる麦酒(ビール)のこと。 まずは軽く一杯……のつもりが気が付いたら六合(1080ml)は軽く空けてしまうためこの名で知られている。 キメ細やかな泡と爽やかな口当たりがたまらない逸品。
【八卦果酒】 葡萄、林檎、梅、茘枝(ライチ)……などお馴染みの果実類から醸造された酒。八種類。 ジュースワイン感覚で美味しく飲める。度数はそれなりに高いので注意。
【少林薬酒】 古くから修験者の間で慣れ親しまれている薬膳酒。 白酒(火酒)に漢方を混ぜ合わせたもの。更に蛇を漬け込んだワイルドな滋養強壮バージョンもある。 クセは強いが飲み慣れてくると……? もうヤミツキさ!
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