【名前】アリーヌ(旧他称:ドール) 【種族】人間 【性別】女 【年齢】13歳 【身長】142cm 【体重】36kg 【体型】起伏少なめ。ぺったんこ。 【肌色】血の気を感じさせない白さ。 【髪色】薄青みがかった銀髪 【瞳】銀色 【髪型】長い後ろ髪を一つ結び。 【格好】ダボダボの衛兵用制服。ぶかぶかの帽子も被っている。 【住居】衛兵隊の詰め所の一つ。下層浅層
ぽつぽつ、と平坦に話す彼女は、研究施設で生まれ育った存在。 人の身で、重力に抗えるだけの念動力を、自在に操れるようにと。 生まれてからこの年までに拡大され続けた意識は、彼女が「 ちょっとびっくり」しただけでもポルターガイストじみた念の暴走を起こすようになる。 全面鏡張りの四角い部屋に閉じ込められたまま一生を過ごすかのようであった。
研究者たちからの扱いは腫物を触るがごとくで、掛けられる優しい言葉の裏に、自分に対する畏れを感じ取れるものだった。 そのため彼女が口を開く時は、一言一言、相手の反応を確かめるように、ぽつぽつと話すのだ。
都へ漂着することとなる事件が起こった日は、彼女が他の研究施設へ移送される日だった。 彼女には、外音を聴き取らせないためのイヤーマフと、視界を遮る金属の目隠し、両手両足にはワイヤーで繋がれた金属環が装着され、棺桶じみた箱に閉じ込められての厳重な移送であった。 しかし、これらの器具には、拡大しきった彼女の意識を妨げる役目は果たせず。研究施設から車両へ積み込まれるほんの僅かのうちに、彼女は外の世界の広さを感じ取ったのだ。 蛍光灯とは違う暖かさ、眩しさ、どこまでも続いていくような天井(空)や床(地上)。 これらが、鏡張りの四角い部屋しか知らなかった彼女に「 感動」をもたらし、外への「 興味」を抱かせた。 一瞬のうちに、まるでビッグバンのように広がった彼女の興味意識が、時空を破り……漂着へと至ることとなる。
ひとつひとつ、単語を並べて話す彼女は布切れ同然の服とも言えないような服を痩せた身体に纏わせ、無知な眼差しに光を灯す。 無感情に見えるその銀の眼差しには、果たして何が映っているのだろうか?
彼女に商品価値を見出し、奴隷馬車に乗せた者もいた。 しかし――彼女を誘拐しようとしたものは帰っては来なかった。ひとつの小さな犯罪組織が壊滅したというのは、かすかな話として紙面の片隅に載ることとなる……
衛兵レオナールに『アリーヌ』という名前をもらった。ただ、その一言を告げるだけで彼女は胸が暖かくなる。 衛兵に迷惑をかけながら、彼女は薄闇を無邪気に楽しんでいる。 |
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