下層の行商人Mがかつて取り扱っていた闇の事業。
　きつね商会と違って配下となった商人たちに経営権を渡して独立経営させており、オーナーとなった人物はいつでも“しっぽ”を切れる仕組みとなっている。
　それぞれの組織に出所不明の支援が存在するがMからオーナーを譲ってもらった『渦木六重』という謎の資産家の寄付であるらしい。

【渦木六重】
　最近下層に現れたらしい謎の資産家。
　オーナーでこそあるが表には出ず、何者かであるかも一切合切不明。
　噂によると童女や老婆、はたまた妙齢の女であるとも言われている。

闇市組合“渦木組合”
　下層紛争時代、ブラックマーケットをふっ飛ばされた際にMが闇商人たちを統合・吸収した裏商会。
　違法物品から貴重なアイテム、クズに至るまで広く取り扱っており出所不明の物品は大抵が法で裁けない脱法仕様。
　十重二十重に張り巡らされたルートとダミー情報を織り交ぜた取引をしており、頼めばほぼ確実に商品が届く。
　特に“ガンスミス”アンドロメダと強い伝手があり、銃器関係の取引に強い。
『金さえあれば貴族院まで引っ張ってきてやる』という大袈裟な標語を掲げている。

葬儀総合店“糸杉”
　下層に放置された死体を代わりに処分する掃除屋。跡形もなく消してくれるが、死体の行方は不明になる。
　『死体の回収』『死体の処分』『葬儀』のどれかをこなすことで報酬を支払う形式となっており、全てをこなすものには十分な報酬が支払われる。
　なお、『死後反応』する死体を持ち込んだ場合は反応除去サービスを金貨一枚で追加できる。
　繰り返すが持ち込んだ死体は痕跡一つ残さず闇へと葬られる。専属契約を交わしたシスターや葬儀屋には応相談の待遇。

金貸し屋“借虎威”
　違法な金利で金を貸し付ける下層の金融機関。貸し付けのハードルは低いが、代わりに利息はトイチが基本。
　利息さえ払えば取り立ては緩く、むしろ他の悪党から守ってくれることもあるにはある。
　しかし、貸した金を返さない場合は下層の中でも特に獰悪な腕自慢による苛烈なキリトリが待っている。

病院馬車“コヤーン”
　下層を巡る異様に適当なのぼり旗を掲げた中立の病院馬車。病気、年寄り、コヤーン。
　ジェラルドカンパニーから譲られたレシピから色々と作り出された多様な薬品と下層の闇医者を取り揃えており、保険金さえ払えば誰でも一流の治療が受けられる。
　中には違法な処置で上層を追放された医者も揃っており、腕利きではあるが全員スネに傷がある。
　怪我人や客は分け隔てなく治療し、認可されていない先進的技術による治療も存在するため技術だけは相当に高い。
　高額な薬などを乗せているため略奪に見舞われることもあるが、万が一雇われた用心棒に敗北するなどして略奪に失敗したものは永遠に帰ってこれなくなると噂される。
　闇医者達が何故ここで真面目に働いているかは「聞いた者が帰れなくなる」理由であるそうだ。

　商人Mが中層に進出し、お面商会の名を改めて作り上げた健全な商会。
　元々下層の難民だった者たちを肉体的・精神的に育ててスタッフにしており人件費がお安い傾向にある。
　代わりに効率的に衣食住を完備し、特に優れた人員にMがおらずとも十全に動くように高度に組織化しているため顧客サービスが充実している。
　地獄を見慣れたたくさんの下層民を心身共に鍛えて使っているため相当タフで、各店舗は平気で夜遅くまでやっている。

【特徴】
　老若男女まちまちだが、全員が着物姿で能面を被っている。
　般若や鬼のような恐ろしいものは被っておらず、小面や狐面など各々で被るものを変えている。
　しかし教育が行き届いているため仮面の下はいつも笑顔。とても愛想がいい。

【教育】
　一箇所に集めて共同生活の中で様々な教育を施す。
　孤児院といえば孤児院だが、純粋な教育機関であるため厳しく躾けられる。
　M直々に鍛えられた教育係が何人かおり、食事面や基礎教育などから徹底的に鍛えられる。

【食事について】
　未踏区域や古森の食材をふんだんに用いたものや、捨て値で買った食材でタダ同然のものを使っている。
　しかし特有の割烹レシピによって栄養・味ともにハイレベルになっており、医食同源を形にしている。
　食えば食うほど強くなる、秘蔵のバイタルレシピ。

【服装について】
　お守りを縫い付けた木綿着物の夏服と冬服、そして前掛けを配布している。
　デザインとしては特有の魔除けの文様を編み込んでおり、災難除けの効果を持っており色合いは地味めになっている。
　安く洗いやすく頑丈な服であり、様々な仕事に最適化させたタイプの支給もしている。

萬屋“ツヅラオ”
　きつね商会のメイン事業。都に流通する食料品、酒、衣類、素材など様々な商品を取り扱う卸売業。
　本店は広い代わりに簡素だが、徹底的なコスト削減によってかなりのお安い値段を実現している。実際ヤスイ。
　食料品はバックヤードに張り巡らされた『結界』によって適切な保存状況を保ち、長期間の保存で腐らせたり痛めたりしない仕様になっている。
　ご禁制の品は取り扱ってないが、それ以外なら赤ちゃんのおしめから棺桶用の材木まで何でも揃う。
　Mファームという肥溜めつきの農場で作り上げた肥料がプライベートブランド。

質屋“葛”
　『質』の看板を掲げた看板の質屋。腕の良い鑑定士を雇っており、しっかりとした目利きで質入れした商品を見てくれる。
　質流れした鞄や装飾品の販売も執り行っており、比較的安価で取り扱っているためリサイクルショップの側面がある。
　金貸しに関しては気楽にやってくれるが年利17％の利息が基本で、場合によってはさらにグレーゾーンをついてくる。つらい。
　　
酒場“狐鈴”
　中層の奥まったところにあるおしゃれな雰囲気の酒場。
　元々は与太者たちの溜まり場の安酒場だったが、Mの手によって品揃えも内装も流刑の都の様々な酒場を参考にシック調に変化している。
　値段の安さと豊富な品揃えが売りで、看板商品は蜜のように甘く、炎のように熱い『陽華』というオリジナルカクテル。
　その他、様々なカクテルを有しておりいずれも値段はそこそこするが美味。ハッピーアワーにはすごく乗り気。
　また、スタッフたちの駐屯所としての側面もあり人材派遣サービスも副業としてやっている。
　主な派遣先は港区、倉庫街、酒場、宿屋、冒険拠点、闘技場など各々のスキルに合わせ、多岐にわたる。

薬局“美福”
　江戸時代のような雰囲気を漂わせる、とても薬臭い和風薬局。
　基本的に古森と自前の農場で栽培した素材から調合した漢方薬を取り扱っており、各種栄養剤や睡眠導入剤なども扱っている。
　魔力により各作用を増幅させた薬もあり、それらは傷薬や毒消し火傷直しといった単一効能によく効く薬として売られている。
　総じて苦いがてきめんに症状にスーッと効く傾向にある。半分は優しさでできている。
　門外不出のレシピが存在し、客の要望を聞いて効能の調節が可能。看板商品はジェラルドカンパニーからもたらされた良薬。