Strafkolonie-キャラクター資料館【本家/学園共用】
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fld_nor.gif 壺中偽天
投稿日 : 2021/04/18(Sun) 03:20
投稿者 アスター
参照先
三界交通管理局、時空管理事業部、多次元交通技術統括部、三界ゲート管理部、時空デブリ対策課、アスター・メルキュール。
孤島をさすらう狩人ミュリワル。
流刑の都に遊ぶ、猟師兼冒険者アスターである。



(読む必要のない小ネタ置き場)
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件名 技術用語メモ5
投稿日 : 2024/02/28(Wed) 01:39
投稿者 アスター
参照先
「時空デブリ格納施設の開放」

超災害の時限爆弾とも言うべき時空デブリの処理についての議論は、既に150年来、紛糾が続いていた。表向きは「最高レベルの安全管理を実施しつつ、全力で問題解決に当たっている」とされており、またそれは決して嘘ではなかったのだが、明確な解決方法は見いだされていなかった。

時空デブリが格納施設を侵食して壊してしまえば世界が終わる。それまでの時間的なリミットは、主に計算によるシミュレーションで予想されていたが、時空デブリ自体が常識を超える存在に変わり果てていたため、各派閥がまったく異なる計算結果を弾き出していた。

大きく分類すると、「今後の技術革新が期待できるくらいの長期間、時空デブリを保持可能」とするのが最大派閥である。次に「一部の時空デブリを急ぎ解放すれば長期保持が実現できる」とする派閥が、さまざまな計算結果を掲げて複数存在。「可及的速やかな全開放を想定して対策を練るべし」と主張する派閥もわずかながらいた。その他にも、時空デブリ自体を神格化する組織や、武力による全開放を唱えるグループなど、無数の研究集団や組織の発生が途切れず続いていた。

このように多様な派閥が存在する中で、最も警戒されたのは実力行使による格納施設の開放である。つまり、不正行為や武力によって時空デブリの解放を強行しようとする試みが危惧されたのだ。当然ながら格納施設は厳重に警戒されていたが、工作員が入り込む可能性は常にあった。

「女帝派」
「女帝派」は、過激派テロ組織として特に危険視されていた一派である。奈落の存在を「女帝」として頭領に据え、何らかの破壊的な企みを進めているとされた。上層部の人間ならさらに、「女帝」が変幻自在に姿を変えることができ、「地」界および「天」界を最も長期的に保全するための方法として一部の時空デブリの解放を求めているという情報も掴んでいただろう。奈落の存在が率いているにしては立ち回りにそつがなく、発見当初は泡沫組織と思われたが次第に警戒レベルが上がったものである。あまりの組織力に「女帝」が魅了等の精神操作手段を持っている可能性も議論されたが、これもまた憶測に過ぎない――どころか、持っていない/行使していない場合こそが最も危険視された。

調査が進むにつれ、行政機関内に当該組織の内通者が複数人存在する可能性が浮上した。さらに、組織自体が百年以上前から存在した可能性も示唆されたが、これは確定情報ではない。そのような驚異的な計画性を備え、人間社会への造詣も深い奈落存在の実在自体、いまだに議論が分かれる。

女帝派は三界全土にわたってメンバーを擁し、天人を含む技術者集団まで抱えていた。内通者からもたらされた技術も流用していたのだろう。構成員はいずれも記憶喪失用の忘却装置をインプラントしており、拘束しても組織に関する情報をすっかり消失させてしまう。記憶読取装置に掛けてもなかなか情報が得られず、各種拠点は大部分が不明のままである。

実際、女帝派は格納施設のひとつを破壊しようとしたが、未遂に終わった。時空デブリの管理業務に携わっていた交通管理局職員アスター・メルキュールが同派の構成員であり、偽造IDにて格納施設のひとつに侵入し、爆薬を仕掛けたのである。他職員が気づき、爆薬の除去とアスター・メルキュールの拘束に成功したが、そのときには既に忘却装置が起動されていた。

世情を鑑み、処分は非公開で行われた。死刑相当の罪ではあったが、ちょうど孤島環境"PoC"が発見される。本人が興味を示し協力的であったことから、調査員として実験的な投入が試みられた。精神体のみでの世界移動が実行され、書類上は死亡済として処理された。(参照:技術用語メモ2「孤島環境"PoC"」)

いつから同派に属していたかは定かではない。幼少期から時空技術や奈落に興味を示していた形跡はあるが、女帝派と関わり始めたのは青年期からだと推測される。
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件名 コアパーツ保管容器
投稿日 : 2024/01/23(Tue) 21:26
投稿者 アスター
参照先
(ある日から、アビスロイド研究室に下記のオブジェが置かれる。アンチ・ディザスター・ジェネシスとの戦闘で――それを覚えていない者にとっては、耐用年数を超えたことにより――稼働停止したプンクトのコアパーツ保管容器である。プンクトというアビスロイドがかつて居たことを示すよすがとして。土台には引き出しが付いており、内部に数点の品が収められている。追加したい人がいれば自由にできるだろう)

【設置時から引き出しに保管されているもの】
・桜の押し花(稼働開始年のプロム後、春燕氏より頂いた桜のコサージュの一部)
・熄の香袋(演習中、セツガ氏より頂いた「御守り」)

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エリクシルによって制作された保管容器。
全体的には、蒸留器を彷彿とさせるフォルム。下半分はフラスコと台座になっており、その上部には、フラスコの長い首を囲むようにしてアビス竜学院の全景を模した緻密な金属模型が飾られている。

主にガラスと金属(プンクトの機体から取り外したものを含む)を材料に作り上げられ、台座の上の丸底フラスコの内部、その中央に浮かぶ形でプンクトのコアパーツが安置されている。
フラスコは一見すると透明なガラス製だが、実際にはある種の複合材で構成されており、著しく強固な結晶質によって内部に納められたコアパーツを保護している。

コアパーツは立方体の角の一つを斜めに切り落とした形状で、切り落とされた断面からは、内部の演算素子の構造色によって様々に変化する紫の光のきらめきが見える。
コアの機能は完全に停止し、復元防止措置も実施済み。光の加減の微妙な変化が、その輝きを揺らめかせているようだ。

ずっしりと重いフラスコ台は太い木の根と幹を模した意匠で、いぶし銅製で本物の樹皮のように仕上げられた。
プンクトが地中深く潜ってアビス竜学院を支えきろうとした、その勇姿を思い起こさせる。
フラスコ台からは、木の幹のような二本の太い保護フレームが、フラスコの膨らんだ胴の周囲に沿って二重のらせんを描いて上へと伸びる。
幹の片方は金の動力パイプと銀の情報ケーブルを編み上げて作られ、もう片方には鉄材を用いて高みを目指す螺旋階段の意匠が施されている。

らせんを描く幹はフラスコの首に沿って上へと伸び、樹冠のように上部に広がっているアビス竜学院の模型を支えている。
模型は、学院の校舎をメインに据え、その背景にアビス竜学院の各設備が、そして最上部には精密に再現されたアビス天文台を象徴的に頂く構図。
模型の向こうには、フラスコの首が遥かなる高みを目指すように高く延び、天文台の円形ドームから伸びる巨大な望遠鏡がそれを見送るように見上げている。

フラスコの口のそばには、サンカヨウの花をモチーフにしたピンコサージュが一輪、そっと添えられている。

コアパーツを支える木製の台座には、プンクトの名前とともに、ある言葉が彫り込まれた金属のプレートが嵌め込まれている。
『新たなる旅路を進め』

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画像:Picrew「β版 R式人間メーカー」様

1706012782-1.png

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件名 技術用語メモ4
投稿日 : 2023/12/16(Sat) 23:13
投稿者 アスター
参照先
「時空デブリと時空隔壁、運命補正」
時空のゆがみ、すなわち時空デブリは、長きにわたり有効利用法が模索されてきた過程で新たな技術も生んだ。

ひとつは時空隔壁である。特定の性質を持つ時空デブリを組み合わせることで、各種の反作用を(一時的にとはいえ)留め置いたり、高度な時空ポータル管理環境を構成することが可能になった。孤島環境"PoC"の観測場も時空デブリを組み込んで構成されたものである。

もうひとつが運命の補正。補正と言ってもかなり大雑把なものであるが、一定量の時空デブリに指向性を持たせて生物に投げつけることで、その後その生物が経験する出来事の内容にある程度干渉できた。
主な原因は2つ推測されており、1つは因果の捻じ曲げ。あらゆる時空操作の反作用の煮凝りともいうべき時空デブリは、時に超常的なまでの現象を引き起こす。そこに無いはずのものがあったり、あるはずのものが消えたり――しかし特定の結果を狙えるものではなく、また実験の危険度も高かったため、大規模な検証は行われずじまいとなった。
もう1つは、そのようなゆがみを感知した生物の無意識下での反応である。これは主に「自我視点の移動」装置の運用実験で報告が上がっていたもので、たとえば誰かが怪我をした瞬間に自我視点を移動し、怪我を主観的に回避しつづけた結果、一定の時空デブリが溜まる。それを他個体に投げつけると、まるで外傷を予測したかのような身体反応が発生。その強度は時空デブリの量にも左右するが、いずれにせよ「経験していないはずのことへの身体的・精神的反応」が時空デブリによって惹起された。冷静さを失ったり、体のコントロールを失ったりするため、対象が何らかの目的を持って行動していた場合、時空デブリに曝露しなかったときと比較して、その行動の成功率は当然ながら有意に下がった。ただし、本効果はゆがみの発生元の主観が基盤となっているためか、一定の知能のある生物に対してでなければ再現されなかった。

理屈上、幸福な出来事が起こった瞬間に自我視点を移動し、幸福を主観的に回避しつづけると、この方法で誰かにポジティブな反応または出来事をもたらせる可能性があるが、ポジティブな出来事の回避は精神的に非常に負荷が高く、困難をきわめるため、詳しいデータや記録はない。

「裏返り」
孤島環境"PoC"が何等かの原因で破損した際、内にいたアスター・メルキュール(ミュリワル)と孤島環境の位置関係が時空隔壁を軸として反転したと思われる。アスターの内部に時空隔壁を挟んで孤島環境が内包され、環境管理機能の一部がアスターの意識と接続された(重量操作、時空隔壁操作など)。時空隔壁は一部がアスターの意志に従って動き、また自我視点の移動によって発生した時空デブリを吸収し蓄積して、隔壁の維持に使用する。なぜ制御下に置けるのか、そもそもなぜ裏返ったのかは永遠の謎。
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件名 技術用語メモ3
投稿日 : 2023/09/25(Mon) 21:57
投稿者 アスター
参照先
「自我視点の移動」

多・多次元宇宙論に基づく物理的タイムトラベルの研究は難航していた。タイムパラドックス問題は既述のとおり回避可能であるにせよ(回避できない場合もあるにせよ)、問題はすべての移動が片道切符であることだった。未来も過去も無数に派生しているため、行けば行ったきりだし、戻ってきた者が本当にこちらの世界線の人物だったかを確認することすら不可能だった。

やがて研究は別の方向に舵が切られる。今タイムトラベルを望む自分たちと、移動先の世界の自分たちは、同等の存在だ。ではなぜタイムトラベルをする必要がある? 何かに成功する世界線と、失敗する世界線が既に存在するなら、自分たちがわざわざ成功を目指す必要性がどこにある?

答えは「天」の研究組織からもたらされた。物理的に移動する必要はなく「視点」を動かすだけでよいのだ。たとえば今の世界を本に例える。ありとあらゆる可能性が記されたゲームブックだ。そこにはすべてのシナリオがあり、自分たちはそれらを順番に読み込んでいる読者のようなもの。その本を読む「視点」さえズラすことができれば、自分たちは異なる世界線を読み込める。
もちろんその視点も世界線の数だけあるが、なるべく多くの人間が「視点」を望ましい方向に移動させれば、望ましい世界への相対的な距離が縮まるかもしれない。また、因果の非連続性によって、視点移動できない人間たちにも、同様の方向への可能性が重ね合わせ状態で保たれる。幸福な可能性は少ないよりも多い方がいい、そうだろう? 不幸と幸が定まり切った宇宙だとしても、我々は直感的に、日々幸福を求めて取捨選択をしてきたのだから。

さて、さすがに遠い世界線へは「視点」ですら到達できない。たとえば人間が身一つで歩く世界から、人間が身一つで飛行する世界への視点移動は距離が遠すぎる。しかし、もっと近い世界線なら? 最も距離の近い異世界とは、すなわち「直前の過去」および「直後の未来」であった。さらに、「直後の未来」は相当数存在する一方、「直前の過去」はかなり数が絞られる。

斯くして、過去方向への視点移動が実験的にではあるが「天」の技術で実現した。「来た道をたどる」方式を取ったことでその距離は飛躍的に伸び、それでも人間へのインプラントとして運用すると、その距離は約1秒が限界であった。この方式は実証がしやすいだけでなく、1秒先のあらゆる出来事を疑似的に予知できることが判明した。

1秒先の運命のえり好み。とりあえず時空デブリは増えるし、悪用されたら面倒極まりない。しかし、あらゆる技術開発は人類が望ましい未来を手にするための奮闘であり、全方位的に試されるべきものでもあった。本技術は統括部レベルの機密技術に指定されたうえで、数多の性格・体質適正テストのうえ(適格者は多いとは言えなかった)、極秘裏に多分野の適合者にインプラントされた。とはいえ対象者として最も多かったのは、三界で一番どうしようもない問題、時空デブリの管理業務に携わる者たちだった。仕事柄、時空分野の知識や経験を持つ者が多かったからだと言われている。
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件名 技術用語メモ2
投稿日 : 2021/09/21(Tue) 17:56
投稿者 アスター
参照先
「スペースフォーミング計画」
時空デブリを処理しきれないまま、封印設備も維持できなくなった最悪の場合に備えた移住計画。天、地、奈落のほかに、もう1つ別の世界を新開拓し、そこに移住して時空の歪みの清算を逃れようという趣旨である。
すでに3つの世界を横断してエネルギーをやりとりしている以上、一部のデブリには世界を渡る機能がある可能性が高く、完全な逃亡にはなり得ないと思われたが、それでも被害規模の軽減が見込まれ、さらに文明が後退すれば一層の軽減効果が見込めるとされた(たとえば空から小石が超高速で降ってきたとして、巨大都市と農村での被害の差を考える)。

主に「天」特有の低密度な場において技術開発が進み、時空デブリの封印技術を応用して壺型の観測場が作られたが、天においてもこの試みは困難を極めた。
新たな世界の発見・開発手順は運任せとすら言える。
まず、時間と空間を異にする異世界のうち、発生したばかりのものを何とかして見つけ出す。この時点でもう「天」でしか行えない作業となる。
次に、観測経路を通じてその世界へ小さな穴を開け、少量の時空デブリを入れる。時空デブリはもともと「反作用」であるため、その性質上、オリジナルの「作用」を求める性質がある。しかしその新しい世界にはまだ何も存在しないため、その動きが物質形成の方向性を決定づけ、やがてデブリが元いた世界と似かよった世界が形成されてゆく。
あとはその世界の世界線や時間軸をずらして再観測すれば、果てしない時間の経過した後に形成されたさまざまな世界を観測することができる。
どの工程にもそれなりのエネルギーが必要だったため、マグマの海や砂漠の海などにさえなっていなければ、その時点で一定の成功と見なす必要があった。

ただし上記の試みは実験の域を出ておらず、実際に人間集団が移住する目処は結局立たなかった。また、将来的にどれだけ成功したとしても、3つの世界の住民がまるまる1つの世界に収まる可能性は低く、さらに適性やコストなどの問題からごく一部の人間しか移住できないと考えられていた。
実際にこの計画が実現するとしたら、その選民方法が大問題として浮上することは想像に難くない。しかし三界の執政機関からは有意義な分野として予算が降り続け、研究者たちも未来の誰かを助けるために、またはまだ見ぬ世界に抱く浪漫のために、あらゆる理論を編み出し続けた。

「孤島環境"PoC"」
上記の計画によって、それなりに暮らせそうな環境が観測された。その世界の居住可能区域は大陸というには狭く、いっそ海に囲まれた島と言っても過言ではなかったが、海は穏やかで、自然環境も三界のものを部分的に引き継いでシンプルながら整っていたため、計画は試験入植の段階へと進行した。

特異的だったのは、この世界線において人間が自然発生していたことである。三界の人間と比べれば多少知能の低下が見られたが、それでも「地」界の特定地域の文明によく似た経過を辿っていた。衣服等からおそらく気候も極端ではないと推測された。
色々あってアスター・メルキュールが投入されることとなったが、ひとつ問題が起こった。
三界の時空デブリから逃れるために、因果を限りなく断ち切った世界へ逃げようというはずが、三界の人間を投入してそれを観測し続ければ、因果の繋がりが増えてしまう。世界線や時間軸をずらした観測もますますしづらくなるということで、当初の目的から逸れてしまわないか、問題が提起された。
結局、とにかくデータが欲しいということで、この新世界は概念実証(PoC)用の環境として使い捨ても辞さないということになった。その代わりに、取れるデータは全部取っていく姿勢に転換。あえて時空に開ける観測用の穴を増やし、アスター・メルキュール当人の精神体にも定住が難しくなるよう条件付けを行い、追跡マーカーを追加。必要であればその世界の誰かに三界からの短いメッセージを言わせることすらできるように観測装置も改良された。
対象の世界が小さすぎたため、肉体ごと転移させることは不可能だった。多少の前準備ののち、精神体のみが剥離投入され、結果としてとある子供の体に宿り、人格が融合(その後のミュリワルの言動を見るかぎりでは、上書きに近いとも考えられた)。

その後は大きな問題もなく観測が続けられたが、ある時点でアスターは空が割れるのを目にし、その後流刑の都に漂着した。
この世界に特に名はなく、観測装置たる「壺」の名前もアスターは知らない。研究者の常で、ちょっと洒落の利いた名前でも付けてたんじゃないですかね。
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件名 技術用語メモ1
投稿日 : 2021/08/23(Mon) 02:17
投稿者 アスター
参照先
「時空デブリ」
時間、空間、物体に対して何らかの操作を行った際に生まれる、釣り合いを保とうとする力のこと。便宜的に反作用と呼ばれることもあるが、わかりやすく言えば「時空の歪み」である。元々は研究者畑でのジャーゴンだったが、後世には公的機関の名称にすら使われるようになった。
反作用それ自体は悪いものではないが、その力をワープ技術と絡めて別の場所に移して保管・再利用できたら便利だということで、その技術が「天」および「地」の共同研究により重点的に開発された。

その技術は「地」界の発展に大いに貢献したが、問題は余った反作用の処理である。ごく小規模であれば、施設または設備の非アクティブ時間に解放することで解消できた。しかし時代が下り、ワープ技術の一般利用が始まった頃から中~大規模な反作用が増えてゆく。再利用や相殺、エネルギー種別の変換等による解消処理はされていたものの、都市の発達とともにどうしても利用しきれない(コスト上問題がある、または都市機能に害を及ぼす)物理的および非物理的なエネルギーが蓄積され、やがて専用設備への封印が主な処理手段になっていった。
あまりにも長い間それらの蓄積は行われ、気づいたときには、それらは原因と結果の関係に干渉する非物理的なエネルギーと、一般的な因果関係を飛び越えて出現する物理エネルギーの塊となっていた。歪みを限りなく整理整頓したつもりでいた三界にとっては非常に暗いニュースであり、しかもこれが判明したのは、すでに封印設備が各国に行き渡った頃の話であった。もはや後戻りは叶わず、時空デブリの新たな処理方法を求める状況が非常に長らく続いていた。

「多・多次元宇宙論」
並行世界の存在を想定する多次元宇宙論からさらに進み、過去と未来も並行世界の一種として解釈した理論。要するに並行世界を含むすべての可能性とその過去がすでに存在しているという考え方である。
これと既存のワープ技術により、タイムトラベルが可能になる可能性が生まれ、共同研究が続けられていた。しかし「物体または生物をここではないどこかに送り出す」だけなら成功しても、狙った世界線や時点に届けることまではできなかった。未来だけでなく過去も無数にあったのである。行きも帰りも片道切符にしかならず、研究は停滞。
また、バタフライ効果やタイムパラドックスという概念が一般層に深く浸透していたため、タイムトラベル研究に対する抵抗感も根強くあった。
どちらの概念もアスターの世界においては因果の局所性(非連続性)に基づき大筋において否定されていたが、厳密に言えば「それらの効果や現象が発生する並行世界」も「どこか」に存在することになってしまうため、あり得ないと断言するまではできず、一般層からの反発を懸念して、この研究が華々しく語られることは少なかった。

「因果の局所性(非連続性)」
バタフライ効果やラプラスの悪魔などを否定する概念。原因 - 結果という因果関係が組み合わさって構成されている世界であっても、各事象がある程度「離れて」いれば互いに影響を及ぼすことはないとするもの(たとえば、「どこかで蝶がはばたいた程度で竜巻に発展することはない」)。
この考え方に則ればタイムパラドクスの影響が従来の予想よりも大幅に少なく収まるため、特にタイムトラベルの研究者はこの概念を歓迎した。
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件名 三界メモ
投稿日 : 2021/04/18(Sun) 17:01
投稿者 アスター
参照先
3つの世界を互いに行き来できる構造の世界。
太古の昔から、時空ポータルが勝手に開くことがあった。うっかりポータルに捕らえられた事物の消失事件は、古代においては神隠しであると見なされていたし、異界から紛れ込んだ来訪者は神や魔物の類として恐れられた。
だが、数千年の時を経て各世界の住人たちはポータルを固定化し、管理を開始。隣接し合う世界をまとめて「三界」と呼ぶようになった。これらの異世界は同じ世界の異なる姿という仮説もあったが、詳細は不明。

三界の融和には一つの時代がまるまる消費されるほど時間がかかり、大戦、疫病、経済問題などが噴出する暗黒時代を経由したものの、その後は「天」と「地」が共同開発した技術によって資源問題を解決、さらに「奈落」の環境資源の有効利用も進み、長い安定の時代が訪れたという。

しかしその長い安定ののち、再び野良ポータルが散発的に開き始めた。上空や海中の対処不能な場所に定期的に発生するポータルから、異界の大気や水、物質が流れ込み、異常気象や大事故が度々発生。住人はじょじょに堅牢な建造物の内部に引き込もるようになった。歴史を通じて蓄積されたポータル管理技術のさらなる応用発展が待たれたが、この超高度技術世界であってすら、これを「天罰」と見る者たちも少なくはなく、世相は少しずつ荒れつつあった。

「天」
秩序の天。存在密度が薄い、あるいは物理法則が緩いとでも言うべきか、思念の世界に少し近い物質世界。住人は長寿で、流刑の都でいうところの魔法に似た技術もあるにはあった。ただしあくまで技術であり、個人個人に固有魔法があるような世界ではない。しかるべき装置を通して変身や転送、物質錬成などが行える。
全体的にパステルカラーの、のんびり穏やかな美しい世界。儚いとも言い表せる。
野良ポータルによる環境汚染、および地人との混血の進行により、魔導装置の挙動に不具合が発生し始めて久しい。近年は装置周辺に力場の安定装置を置いて対処していた。また、野良ポータルからの異物落下が頻繁にあるが、大規模結界によって防いでいる。空が本来の色で見えなくなったと嘆く高齢の天人が少なくなかった。
ちなみに、三界の主食のドングリはこの天の巨大樫が品種改良されたものである。保存性と栄養に優れ、低肥料で済み、特性の調整も容易。成熟果は落下するため、重機で一気に地面をさらってしまえば無人で収穫できる。農地の大木には鳥類がよく住みついた。

「地」
欲望の地。厳密な物理法則のある世界。天人よりも短命で性格もガメツいと言われがちだが、毎日食べたり飲んだりしないと死ぬ地人からすれば天人が浮世離れし過ぎなのである。自世界の資源問題を解決する必要に迫られていたため、技術開発に非常に貪欲。天に気象シェルターや各種ろ過装置を提供しているのもここ。
野良ポータルからの物体の落下は天よりも少ないが、代わりに奈落の空気が流れ込みやすく、その量は年々増加。特に夏場の都市部は、ゲリラ豪雨さながらに雷が降り注ぐ地獄と化しているが、堅牢なシェルターを建築し、避雷・誘雷技術を急ピッチで発達させて凌いできた。雷の充電技術も既に実用化されており、近年は地下方向へ都市開発を進めていた。季節さえ間違えなければ天候の良い日もあるので、外には出られる。
なお、郊外に行くほどシェルターは貧弱になっていくが、野良ポータルの数も少ない。一部の天人が支援を行っており、地でも効果のある半魔導技術を持ち込んで広域避雷をしている。

「奈落」
混沌の奈落。常識が通用しない妄想の世界のような場所であり、物質世界かどうかも定かではない。奈落のどこかに複数世界へのポータルがあるとも言われている。全容は全く把握できないものの、何かとエネルギーに満ち溢れており、雷に次ぐ新エネルギーの発見と抽出が期待されている。ポータル付近は比較的安定しているため、天と地が共同で力場の安定装置を開発し、少しずつ開拓を進めているが、トマトを植えたらスイカが生ったみたいなことが度々起こる。アスターが新人時代に視察に行ったときは、開拓地周辺にオオトカゲが大量発生して頭突きで戦っていた。視察団はこれをパキケファロサウルスと名付けて愛で、開拓地のマスコットキャラということにした。奈落の空気を吸ってちょっと頭がおかしくなっていたのかもしれない。
住人はいる。なぜか奈落で事もなく存在できる超常存在たち。形態は天以上にさまざまで、人型もいれば妖怪じみた者もいる。会話が通じるかどうかも個体それぞれ。もちろん、三界の管理に参加するのは理性的な会話のできる存在たちに限られる。
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件名 「幸運補正」メモ
投稿日 : 2021/04/18(Sun) 16:03
投稿者 アスター
参照先
幸運補正ではないが、結果として幸運補正のようになっているため、この名前が一番通りが良い。
主に不幸方向へ向かわせるもの。
理論上、幸運の方へ振らせることも可能だが、今のアスターにはあらゆる面から言って無理である。難易度が高く、能力検証の予定すらない。

……自我視点の移動には、自分のすべてを投げ捨てるがごとき気合いが必要。ひどい出来事から逃げるためでもなきゃ、流石に難しいものです。(参照:技術用語メモ4「時空デブリと時空隔壁、運命補正」)
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件名 「勘」メモ
投稿日 : 2021/04/18(Sun) 15:57
投稿者 アスター
参照先
「勘」だ。

……だから「勘」だって言ったんですよ。予知なんかじゃありません、未来は本質的に不確定ですから。(参照:技術用語メモ3「自我視点の移動」)
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件名 重量操作メモ
投稿日 : 2021/04/18(Sun) 15:56
投稿者 アスター
参照先
「重さ(質量)を生み出す不可視の場」を操る力。
流刑の都に来る直前に付いた能力であり、なかなか興味深いので色々と試している。
魔法ではなく物理現象であるうえ、この場が物体と干渉しないため、生物の体内だろうが岩の内部だろうが通ってしまう由々しきスキル。
よって、人に対する説明はたいてい「重さの操作です」と簡潔に済ませるだけだ。その「場」の呼び名は地球系列世界とは異なる。

世界そのものをぶっ壊すような出力までは出ない。これは、この力の元々が「重量場のバランス調整のための力」であったためではなかろーかと本人は最近推測している。

また、「軽量化」の操作をどれだけやっても負の質量(マイナス)にはならない。かぎりなくゼロに近づいていくだけだ。ちなみに重力操作でもないので、とにかく物体を「浮遊させる」ことは不可能。

設置型であり、一度設置したフィールドを動かすことは難しい。ただし自分の体の内部はゼロ座標のため、動きながら軽さ・重さを維持することが可能となっている。

【焦点具なし】
煙を集めたり払いのけたりするような感覚。操作効果の上限まで達するには1秒前後の時間がかかる。範囲が狭いほど効果は高く、操作速度も速い。範囲が広ければその逆となる。

重量操作場は移ろいやすい。たとえば人間一人を完全に含むフィールドを展開しようとした場合、その範囲全体においてフルパワーを維持するには、その他の行動を止めてまで対象をガン見する必要がある。気が散るとフィールドの効果はゆるむ。

なお、上記の条件においてフルパワーで「重く」してしまうと、通常の人間や、人間大だが筋力の少ない生物であれば、骨や循環器系、呼吸器系に致死的な影響を与え得る(関節が削れ、肺が潰れ、呼吸筋のパワー不足で呼吸不全が起こり、心臓に不整脈が発生し、血も水銀のように重くなって心臓への負担がいや増す等)。ただし、筋力の十分にある獣や特殊な人型生物など、全身の筋力が体積に比して強い場合は上記の危機を耐えうる(その中で十分に動けるかどうかは別)。
場を抜け出されるリスク覚悟であえてフィールド範囲を狭め、高密度展開による組織破壊を目論むことも可能ではある。もちろん、実行するかどうか、そして上手く行くかは別の話となる。この策に有効な展開場所も実は限られている。
逆に対象生物の体全体を究極まで軽くしても、短時間だけ無重力状態になるのと同じであるため、特に生命の危機はない。

上記特性のため、冒険中に中~大型生物と対峙したときは、対象を押し潰すのではなく(デカすぎて無理)、相手の不意を付いて狭い範囲で操作フィールドを比較的高密度で展開し、重心移動を狂わせて怯ませる――あるいは、後ろや下に敵がいると錯覚させるという手になることが多々。

【焦点具あり】
主に棒状のものを手に持つことによって、体周辺の距離感を測りやすくなり、操作フィールドの範囲精度や展開速度が増す。要するに器用さが増す。
さらにここへ、「集中力向上」や「魔法制御の精密化」効果のあるアイテムを加えれば(所持:小さな水晶ビーズの連なる簡素なヘッドドレス)、重量場を刃物めいた威力になるまで高密度で展開することも可能。
とはいえ能力量自体は変わっていないため、仮に上記のような高密度になるまで場を凝縮したとしたら、その「刃渡り」は片手剣程度のものであろう。
また、上記装備を全部揃えると過集中状態となり、周辺情報への反応が普段より鈍くなる。「勘」で対応できなくもないが、かなり面倒なことになるので野外ではほとんど装備しない。
また、設置型であることは変わらないため、「焦点具にフィールドを纏わせる」ことはできていない。順番としては「焦点具を構えるか振るかし、それによってイメージした重量操作場を正確な場所に瞬時展開」という順番になる。
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